新選組の料理人

本日ご紹介するのは門井慶喜さんの「新選組の料理人」です。

 

著者の門井慶喜さんは「銀河鉄道の父」で直木賞を受賞され、今最も注目されている作家と言ってよいのではないでしょうか。

 

この作品は大火事で妻子と離れ離れになってしまった京都の下級武士が、生きていくために新選組の料理担当として雇われるというお話です。

主人公は自分の子どもを育てた経験から、当時の男性としては珍しく料理が得意でした。

その特技を活かして、新選組という戦う集団の中で剣を使うことなく隊士たちのために料理をして貢献します。 

 

この作品では、ところどころに実際にあった歴史上の大事件を散りばめつつ、物語の本編はあくまで主人公が巻き込まれる小さな(当事者である主人公にとっては大きな)事件です。

心優しい料理人が新選組の猛者たちに振り回されながら懸命に生きている姿がなんとも応援したくなります。

 

江戸幕府の終焉・新選組という組織の変貌から、物語の終盤はどこか暗い部分をはらんでいますが、それが幕末当時の京都の雰囲気を出しているようにも感じられて良かったです。

 

実在した幕末の有名人も登場しますので、新選組好きの方や幕末好きの方におすすめの一冊です。

 

 

新選組の料理人

新選組の料理人

 

 

 

銀河鉄道の父 第158回直木賞受賞

銀河鉄道の父 第158回直木賞受賞