未必のマクベス

今回ご紹介するのは早瀬耕さんの「未必のマクベス」です。

 

JプロトコルというIT企業に務める主人公がマカオで出会った女性から「あなたは王となって旅をする」という予言をされます。

はじめはその言葉を真に受けなかった主人公ですが、その後自分が所属するJプロトコルの闇に巻き込まれていくうち、主人公の周りの人物も含めていつの間にか旅に引きずり込まれてしまいます。

 

タイトルにある「マクベス」はシェークスピアの4大悲劇の1つの、あのマクベスです。

私は10年ほど前にシェークスピアをいくつか読んで、マクベスも内容は知っていたのですが、マクベスを全く知らない人でも作品の中で解説が出てくるので気にせず読むことができると思います。

 

この作品に対する感想ですが、良かった点は以下です。

  • 意外な展開も多く、次が気になってどんどん読み進めたくなる
  • 基本的にシリアスな話なのに何気ない会話(言葉遊び)が面白い

 

ただ、マクベスになぞらえようとしすぎているのか、「なんでこんなことしてるの?」と感じることも多いです。さらに、ある登場人物が主人公に対して本音を打ち明けるシーンがあるのですが、その人もマクベスを意識しすぎていて私にはその人物が言っていることがさっぱり理解できず、、、重要な意味を持つ場面であるはずなので、残念でした。

 

あと、ここまでの感想だとミステリーなのか?という感じに見えるかもしれないですが、この作品は恋愛小説だと思います。純愛といえるのか分かりませんし現実的かと言われると疑問ですが、読んだあとに恋愛部分が一番印象に残る作品だと思います。

 

 

未必のマクベス (ハヤカワ文庫JA)

未必のマクベス (ハヤカワ文庫JA)