ネットワークスペシャリスト 〜スパニングツリープロトコル〜
ネットワークスペシャリスト関連の記事2回目です。
まずは前回だしたクイズの解答から。
①.ルータのQoSでIPv4ヘッダのTOSフィールドをDSフィールドとして再定義して通信の優先評価を行うのは何モデルと呼ばれるか?
→解答:DiffServ(Differentiated Services)モデル。
②.VRRPでマスタルータが稼働していることをバックアップルータが確認するために、マスタルータが定期的に送信するものは何か。
→解答:VRRP Advertisement(広告)パケット。
③.2台のルータでVRRPを構成する場合、そのうちマスタールータになるのはプライオリティの値が大きい方?それとも小さい方?
→解答:プライオリティ値が大きい方。
そこまで難しくなかったですかね。
それでは本日はスパニングツリープロトコルについて説明します。
スパニングツリープロトコル(STP)はL2スイッチを利用してNWを冗長化する際にループの発生を防ぐため利用されるプロトコルです。
[STPが必要な理由]
L2スイッチでLANをループ状態に構成し、そこにブロードキャストフレーム(サブネットワークの全員を宛先にした通信)が流れた場合を想定しましょう。
するとL2スイッチ(L2SW1)が他のL2スイッチ(L2SW2、L2SW3・・・)へ通信を投げます、その通信を受けたL2SW2、L2SW3がそれぞれ他のL2スイッチに通信を投げます。その投げる相手には通信を送ってきたL2SW1も含まれます。
そうするとあとは送ったり、送られたりを無限に繰り返します。
これがブロードキャストストームです。
STPがあるとこれを防ぐことができます。
[STPの概要]
STPはLANのループ状態を防ぐため、経路のどこか(正確には特定スイッチのポート)をブロックして使えなくしてしまいます。
使わないポートの決め方は以下の通りです。
- L2SW同士でBPDUという情報をやり取りする。このBPDUにブリッジID・パスコストなどSTPで使う情報が格納されている。
- 交換したBPDUのブリッジIDが最も小さいL2SWがルートブリッジとして選ばれる。(ブリッジID=ブリッジプライオリティ+MACアドレス)
- ルートブリッジまでのパスコストが最も小さい経路が通信を行う経路になる。パスコストが同じ場合、L2SWのブリッジID、L2SWの物理ポートIDが小さい経路が優先される。それ以外の経路は遮断される。
ここで出て来る考え方が「ルートポート」と「指定ポート」「ブロッキングポート」。
- 各L2SWの中でルートブリッジに最も近いポートがルートポート
- 各ネットワークの中でルートブリッジに最も近いポートが指定ポート
- ルートポートでも指定ポートでもないものがブロッキングポート
[ポートの状態遷移]
何もない平和な状態の時はルートブリッジを中心とした構成はそのまま動き続けるのですが、障害などでネットワーク構成に変化が現れた時、各ポートは次のように状態を遷移していきます。
遷移しきるのには約50秒かかります。
[STPの派生系]
STPの派生系として以下があります。
- RSTP(Rapid Spanning Tree Protocol)
- MST(Multiple Spanning Tree)
RSTPはSTPで切り替えに50秒もかかってしまうという欠点を補うべく作られたもの。
RSTPを採用することで障害時の復旧を数秒に抑えることができます。
IEEE802.1wで規格化されています。
MSTは、STPの場合に経路が一つに限定されてしまって通信の負荷分散が行えないという欠点を補うべく作られたもの。
MSTはVLAN環境においてVLAN単位にスパニングツリーを構築するプロトコルで、
VLAN毎にスパニングツリーを構成することで通信処理の負荷分散が可能になります。
IEEE802.1sで規格化されています。
STPはネットワークスペシャリストの午後問題でも頻出なので絶対理解しておきたいですね。